ムーミン谷のパンとムーミンが生まれたわけ | リナの料理録

ムーミン谷のパンとムーミンが生まれたわけ

ムーミンパン
ムーミン谷のじゃがいもパン 
その名も「ハパンレイパ」
っていうと空飛ぶ絨毯でも現れそうですが
別にこれは魔法の呪文じゃない
ムーミンの生まれた国、フィンランドのパンです


ところで、突然ですが
ムーミン物語の本質について語ってみようか

実はアレは、ただ可愛い子供向けの童話ではありません
本当は、オトナに向けられた切実なメッセージ
ムーミントロールという生き物の誕生はもともと
とても怒りに満ちた人間の感情によっています

ムーミンの色って、今でこそパステルカラーですが
生まれたての彼は
まっくろ

そして仏頂面
正確に言うと、それがムーミンの前身「小さなトロール」
作者トーベ・ヤンソンが、第二次世界大戦開戦前に執筆をはじめた物語の主人公
その出版は1945年=終戦の年

もともとはヒトラーの風刺画を描こうとしてたヤンソンさん
絵が本人に似すぎたため、発禁 (がぁん)
仕方ないので、違う方法で社会批判を試みようと…

「そーだ!可愛いキャラに怒りを代弁してもらおう!」
(なんて言ったかどうかは知りませんが)

「戦争を~知らない~こどもたち~」って歌もありますが
ムーミンは逆、戦争から生まれた子供だったわけ
だから生まれた時から彼は非常に怒ってた

ムーミン谷に巻き起こる様々な事件ときたらもう
彗星の落下、洪水、怪物の登場
殆どが怖くて悲しい、色んなものを失う出来事ばかり
第1作目で、いきなりムーミン屋敷はまるごと洪水に流され一家離散します



そんな状況
今の世界にも当てはまっちゃいそう
泣きたくなりますよね

でもそこで泣かなかったのがヤンソンさんの主張
へんちくりんな顔で怒ったムーミンを描いたけど泣かせなかった
なぜ?
文献は色々あるけど、めんどくさいので私的訳語を用います(誤訳御免)

「ぐちぐち泣いても息が詰まるだけだから、ええい、全部笑い飛ばしちまえ!」

つまり
この精神が所謂「ユーモア」と呼ばれるもの
自分自身をも含めた、人間の負の側面
それ客観的に、面白おかしくへんちくりんに描く事で笑い飛ばす
悲しみを克服する手段として存在する、それがユーモアの本質

そして
トーベ・ヤンソンにとってのユーモアがすなわちムーミンだったわけ

自宅と親父をまとめて流されちまっても
ムーミンとムーミンママは若干マヌケながらたくましい冒険の旅を続けます
(パパちょっと可哀相という意見はおいといて)
滑稽でいびつでどこか憎めない人物や事件に遭遇しつつ
そして最終的には
木の枝にひっかかってた親父を救出
洪水に流され場所を移動しつつも元通りにまっすぐ立ってる自宅を発見


…グッジョブ!


ムーミン谷はタフだよね


本題に戻ります
パンおいしいよ

ジャガイモ入りでもちもちしてます
東京ドームのムーミンカフェに売ってます
店名で子供っぽいイメージを持つ人が多いけど
料理のランクはかなり高いし、客層も20~30歳代が中心
他じゃあまりない美味しい北欧料理が食べれるのでオススメです